時ならぬ社会不安が、目に見えないウイルスによって拡散しています。ウイルスの特性は徐々に明らかになってきているようですが、不安を解消してくれるような対処法を得るにはまだ少し時間が必要なようです。
私も小まめに手洗いをすることと、むやみに人混みに出かけないよう心がけています。仕事で人前に出る際にはマスクの着用をご容赦頂くようにしています。
そうやってウイルスそのものに十分な注意を払うべきなのですが、恐怖心や懸念のスキに忍び込む曖昧さや憶測にも気をつけたいと思っています。正しく怖がる、そのために冷静に事実を見定める複眼的な見方をしておきたいと思っています。
そして日常生活で自分ができる事のなかに、呼吸に意識を向けることで心を落ち着かせるよう瞑想をするというのがあります。長期化する状況でストレスがかかってくると心身に不調が出かねません。そんなとき、心身のバランスを保つために5分程度の短い時間でも瞑想は有効だと思います。呼吸瞑想のやり方は、閑かな場所で椅子に座りながらでも、あぐらをかいてでも構いません。鼻からゆっくり息を吸って、鼻からゆっくり吐くことに意識を向けるだけというシンプルで分かりやすいものです。呼吸には、意識化で働く体性神経と無意識下で働く自律神経の2つの神経が関わってきます。唯一この両方の神経の影響を受けている呼吸が、内面に目を向けバランスを取り直すうえで重要な役割を担っているんですね。
目を閉じて自分の呼吸に意識を向けていると、不安や懸念、イライラといったいろんな雑念が湧いてくるかも知れません。それでも自分のゆっくりとした深い呼吸に意識を向けることで、心の軸に芯が通ってくるような、「今」という自分に立ち返るきっかけがえられるのではないでしょうか。こんな時だからこそ、瞑想という生活の習慣をあらためて思うところです。
ー 春分 ー
月別アーカイブ: 2020年3月
参考資料のダウンロードページを改訂しました
一年ほど試用してきた参考資料の掲載ページを、現在改訂中です。
メールアドレスを入力していただき、ダウンロードのリンクをお送りする方法に変更しました。
試しに研修アジェンダを一件追加してみました。今後は、これまでの事案に関する内容を整理しつつ逐次掲載していく計画です。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
ロジカルシンキングを実務に活かす
ビジネスにおいて、時間は誰にとっても貴重な経営資源です。とはいえ、拙速に結論を急ぎすぎると、期待する結果が得にくくなるだけでなく、後々の修正も難しくなります。成功も失敗も貴重な成果ですから、その事実がきちんとわかるようにしておけば、修正を反映して次はもっとうまくやれるはずです。行動を起こす前に巡らす考えの設計図が明瞭であれば、先の見通しが明るくなるだけでなく、不測の事態に機敏に対応できるキャパシティーが大きくなります。そこで、ビジネス・コミュニケーションの基本的な思考の組み立てについて、演繹法と帰納法の二つを取り上げてみます。
まず演繹法についてです。私たちが用いる日本語のもつ文法的な組み立ては、順を追ってストーリーが展開していき最後に結論がくるという流れが自然かと思います。このような文脈なら演繹的な伝え方といえます。伝えようとする考えに関連する出来事やそれに付随する気持ちを順を追って表現するので、体験的に時間軸に沿って話やすいと言えます。ところが、時として、一つずつ事柄を追いかけていくうちに、どうしても話が長くなりがちです。また、伝えようとする事から道筋が外れていってしまい、最初に伝えようとしていたことと違ったところに着地してしまうということもあります。このようにならないためには入念に考えをまとめておいて、文章に書き起こすなどしておくと良いと思います。
次に、論理的な組み立てのもう一つである帰納法は、主張や結論に関連する個々の事象やそのセグメントの傾向を読み取って、推論を立てて主張や考えを導き出そうとする考え方です。典型的な文脈として、まず考えや結論を述べ、それを支える根拠を列挙します。複数の根拠をもとに主張するので聞き手の納得感を得られやすいです。また忙しいビジネス環境では、言いたいことが先に述べられるので判断や結論が得やすくなり、会話のテンポが良くなります。無駄なくスピーディーにコミュニケーションが行われる反面、「あそび」が少なくなり過ぎるとドライでギスギスした会話になりかねません。冗談を挟んだりするセンスも大事だと思います。また、結論を支える根拠の取り上げ方にも注意が必要です。用いるデータや事実、状況などに推論が入ったり情報が偏向するとうそっぽくなり説得力が下がります。主張の証左とする事柄に信頼性と妥当性が求められます。
果たして、どちらが良いかは状況や話し手の「意図」によるのですが、主張を組み立てるピースで重要なのは一つ一つのどんな事実を取り上げているかです。主張や結論を構成する基になる「事実」に推論が潜り込まないように留意し、起きている現象の本質的な原因は何か?(Why?)という問いかけを重ねていけば、仮説をもとに、それでどうした(So What?)の突っ込みで掘り下げていくと何を、どう、なんでかというと、が見えてきます。問いかけを重ねるプロセスから、その先にある解決策は見えてくる、と言えます。良い質問が良い結論を導き出すとも言えます。日常の「なぜ」を大切にすることで「ロジカルな」視点が養われると思います。
ー 啓蟄 ー