月別アーカイブ: 2014年4月

社長の後継者に思いが通じない。もしかしたら向いていないのか?

会社には多くの役割や立場があります。経営者は、そのトップに立つ最も重要な重い責任を担っているポジションと言えます。企業のビジネスについて、あらゆる事に精通していることを求められます。では、多岐にわたる業務全般を経験していれば経営者は務まるのかと言えば、そうとは言い切れません。意志決定の最終責任を担うトップマネジメントには、そこに至るまでの役割とは異なる能力、いわばバランス感覚やセンスといったことが求められます。
まず現在の経営者が後継者に対してどのような期待をもっているかを描き、後継者の候補者と共有していただく事です。そのために、事業の継承を想定した将来の期待像というひな形が必要になります。後継者の候補となる方が、仮に単独でも複数であったとしても、将来の期待像に対してどの程度の向き、不向きがあるかを把握しておかれることが重要です。また、どのような点に焦点を絞って経営者として育てていけば良いか、という見通しをもっていただくことです。理想として描くような完璧な人材はまずいないでしょうけれど、困難な目標に向かって挑戦する意思を持った人はきっといるはずです。
仮に過去に多くの部門で仕事に就いてきたとしても、これまでの経歴や成果は、これまでの延長線上にない、新たな役割を考える上では十分な判断材料とは言えません。次のポジション、それも経営のトップとしたら、全く経験のない立場で仕事の全責任を担うことになります。社長の後継者を選抜し、育成していくと言うことは、いわば会社の将来にとって、最重要の投資案件を検討するようなものです。そのための意志決定を行うために、明確な基準をもとに分析した報告書があったら有益なことは言うまでもないでしょう。

思ったほど頑張ってくれないのは、期待値が高すぎるだけ?

有能な人材とは、期待する成果をきちんと出す人、と言えるでしょう。また、何が成功と言えるかが数量や質といった基準をもって示されていて、それを達成できる人でしょう。企業を取り巻く状況はめまぐるしく変化し、自社の対応もより迅速かつ柔軟に求められるようになってきています。そのような目標を期待していて、どのように仕事をやっていってもらいたいか、会社と社員の相互で了解を得ていることが、その成功の可能性を引き上げてくれます。
仮に、自ら行動をし、新しいことにも意欲的に取り組み、可能性とリスクを判断して物事を進められるような人材、を期待するとしたら、どうやって実際に仕事に取り組んでくれる社員にその期待というものを伝えていかれるでしょうか。経営者の意図が、上意下達として組織に一貫して浸透できてこそ、適時の判断と結果がかみ合うはずです。
ざっぱくな言い方ですが、仕事に来ている人で、やる気のない人材はいません。自分がやりたいと思っていることなら、ほっておいても没頭して取り組むでしょう。取り組んだ結果と自分の得る成果がはっきりと肝に落ちているなら、脇目も振らずに成果の実現に向かっていくでしょう。一方で、事情のよく分からないことや、納得できていないことをやりたくないと思う人はいるのです。だからこそ、期待する成果の基準を明らかにするとともに、成果を期待している人材が、果たしてどんなことに関心をもっているのか、どのようなことにやる気を引き出されるかを理解しておくことが肝要です。人はどんなことにやる気を出すか、このツボを分かっているかどうかで、人と組織を活かしているどうかに大きな違いが出てきます。


せっかく採用したのに、辞めていく社員が絶えない。なにが足りないのか?

経歴や実績を踏まえて採用した人材が、これからという時期に辞めたり、期待したような実績を出せずくすぶっているうちに辞めていくようなことが少なからずあるとしたら、自社にとって大きな損失を生じていると言えます。そういった損失とリスクを最小化して事業を伸ばしていくためには、仕事に適した人材を見定め採用するところからがスタートです。そのためには、自社の仕事にどのような人材を求めているか、その期待をひな形としてはっきり描き、人材を評定する物差しとして用いることが有効です。そのひな形は、経営者の期待感や思い、そして実際に仕事で成果を上げている有能な社員が発揮している能力を知ることによって描き出すことが出来ます。
ところが典型的な人材採用では、今までの経歴と実績は職務経歴書などの書類で確認し、候補者の選定をする、いわゆる書類選考でふるいにかけます。次に、実際に面接をしてみた印象や仕事に対する考え方など、その人となりが分かった上で採否を決めているのではないでしょうか。ですが、これらは言わば、海面に浮かんでいる氷山の見えている部分と同様です。面接する人によって同じ候補者の印象が違っていたり、結果の食い違いなどがあるのは、人によって着眼点が違っていたり、どう評価するかがまちまちだからです。判断の物差しが違っていたとしたら、同じことも違って表されるのは当然のことです。
では、その仕事に期待しているのはどんな人材なのか「ひな形」として分かっていたとしてらどうでしょうか。採用はより効率的に、そして効果的な結果をえられるようになります。そして、候補者にとってもその方を活かせる仕事に採用してもらうことになります。期待する人材像が一貫した尺度として用いられ、適材の採用が効果的に行われます。さらに期待がはっきりと示されることで、採用する企業と候補者双方の理解と納得度が高められます。結果として、採用時点でのミスマッチが大幅に軽減され、離職率が抑制されることが期待できます。