人材を採用するという事について #1

採用しようとするポジションを以下のような要点で記述してみる。

◆職務能力要件
・どんな仕事(職務)を担ってもらうか
・期待する成果
・役割責任と権限
◆キャリアと能力要件
・職務経験
・知識
・技能
・資格
◆雇用の条件と状況
・職務等級
・勤務に関連する諸条件

と言った内容を先ずは記述してみる。
これは草案を人事部門が起案することもあるだろうけれど、戦略と戦術の実行責任を担う責任者が最終的な人材要件を起案することがいいと思う。

ところが人材の定着とパフォーマンスの発揮にはもっと重要な事あるのだ、そう思っている。
前述のような、定量化や形式化しやすい人材情報と、自社の企業風土をはじめとした所謂暗黙知をどう形式知にしているか、という組織のコンテキストに関して、ここまでの有り様(人と企業の関わりという意味)を構造的に整理しておく必要があると思う。

この項つづく予定

note に記したこと

サクセッションプランニング
管理者登用
新卒採用
中途採用(キャリア採用)
キャリアパスの形成とIDPプロセス
中途採用社員のソフトランディングと戦力化に向けたコーチング
適所(ジョブ)への適材(人材)の適正登用
組織改革の骨子と組織開発
シニア人材とはなにか、そして事業場の人材価値の発見

などなど、経営戦略に於ける人事施策のストラクチャーをそれぞれの題目によって展開してみたいと思っている。肝心なのは、多層化と相互関連性をどれほど構造化できるかだが、たまたま時間があるので備忘録的に残せたらいいかな。

節目を越えて

年齢を重ねると共に時が経つのを早く感じるのは、経験が積み重なって既視感をもってしまうからだそうだ。そう聞いてから、「なんか見たことあるなぁ・・」というつぶやきが頭に浮かぶとはっとしてしまう。だがしかし、ちまたに溢れる虚々実々、ノイズに溢れる日常であればこそ、脳が思考の負担を軽くせんがためにスルーしてしまいがちになるのも宜なるかな。
玉石混淆な情報に喉元まで浸かりながら、有意なシグナルをどう見定めるか。だたIT技術を知っていてもなかなか本質には届きそうになく、ノイズに隠れたシグナルから肝心な情報を掴み取って、そこに意味と価値を見いだせるだけの志(スピリット)とリテラシーが求められるのだと思う。まだまだだなぁと思うのは、未知のスペースを思い描けるからだとっておこう。
つまるところ、自分自身がどうあるかというところに戻ってきている。目に映ること、耳に聴こえること、肝にひびくこと。真実に向き合うときが正念場なのだと、企業変革の先達は述べている。真新しい2023年のフランクリンプランナーを前にして、熟々とここからどう歩んでいこうかと思い巡らすのである。

ー 冬至 ー

一年のふりかえりと2022年

 昨年はこの世情にあって、新たにプロジェクトを立ち上げたり、個別のワークショップを開催したり活発に仕事ができクライアント様ならびにパートナー企業様には深く感謝申し上げます。 
 ところが年末に最後の仕事を残した日に、不調を感じて急なキャンセルをお願いした。医者に行くとただの風邪とのことでホッとしたが、その後寝込んでしまってようやく落ち着いたら元旦である。
 
 個人事務所の故か、「エンジン」のアイドリングから停止の区切りが曖昧になっていたのだろうか。ベッドで横になっていると頭の中をさまざまな事が行き交って、まるで雑踏に一人で佇んでいるようだった。さらに世の中を見渡せば、仕事以外にも気の休まらない状況も続いている。

 常に気が休まらないストレスフルな状態が続くと脳と体を疲れさせる。DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)と呼ばれる機能の過剰活性状態で、あれやこれやとさまざまなことを考え続けることで引き起こされる。やがて脳は過剰な活動で疲弊していく。
 年末に寝込んでやったことは呼吸に意識を向けて、ゆっくりと吸って吐いてを無理なく続けることだった。そうやってどこかに行ったような「自分」の「この場所」に目を向ける様に気をつけて過ごした。これは坐禅や瞑想で教わった呼吸の仕方である。「今、この瞬間だけに注意を向けた状態」に心を導くことで、ザワザワした感覚がゆっくり薄れていく。やがて解熱剤もよく効く様になって十分に眠れるようになった。
DMNの活動を抑えて落ち着かせ、疲労回復の効果もあるこれをCEN(セントラル・エグゼクティブ・ネットワーク)という。私のように自覚症状が出てからではなく、より適切にDMNとCEMの切り替えができることが望ましいのはいうまでもないのである。この切り替えを司る機能を、SN(セイリエンス・ネットワーク)という。迷子になったこと自体に気づかせて、落ち着かせ、外界と内部の感覚を統制するように働きかける。このSNが機能するからDMNとCENがうまく切り替えられる。

 ぼーっとしているときになんもしてないのではなくて、どうしたらいいか脳が段取りしている様な感じだ。そうして、自分ならなんとかなる、思ったようにやってみようと肯定的に考えることが大事だそうだ。
 昨年を振り返ってからの今年一年、できるだけ雑念(ノイズ)に振り回されないよう「今ここに」を意識に保てるようにしてみたい。

仕事納めと新しい年に向けて

今年一年を振り返ってみると、主に企業経営者の方々とご一緒させていただきながら、各社様の新たな事業展開に関するプランの策定をお手伝いしてきました。
人事コンサルタントを標榜していますので、人と組織に結びつけて発想する事柄が多くを占めつつ、ビジネスモデルの再構築に絡めてプラン策定のお手伝いをしてきています。言ってみれば、事業戦略を策定するためのミーティングでファシリテーションの役割を仰せつかっているわけです。汎用的なビジネス・スキルとして、ロジカルシンキングや構造化といったフレームワークを骨子として思考を展開しまとめています。

このような現状分析から始まって将来の展望を描き出すアイデア出しでは、思考の拡散と収斂を行きつ戻りつしながら、実行と検証の場へ移行していきます。これはOODA(ウーダ)のプロセスそのものですねぇ、と若き経営者と話しながら、あたかも手元に集めたレゴブロックを矯めつ眇めつしながら、時にゼロベースに戻して組み立て直す繰り返しを続けるわけです。
実行に向けた選択の決定は、方向性をクリアにしつつ、同時に捨ててしまったが故に思い込みによって選択の可能を見失いかねない危うさがあります。完成度を求めすぎないよう、OODAをぐるぐる回して、仮説を違った視点から叩き上げる忍耐が必要な局面かと思います。つまり、頭も大事だけれど、手足を動かす(例えとして)仕事で、なんらかの結果を出しながらこれはなんだ?の視点を持って叩き上げる。最少努力の最大効果をつくるには、基準となる仮説に基づく優先順位に応じて、経営資源の選択と集中を繰り返します。実践的な学習(アクション・ラーニング)ですね。決まった時間でなんらかのアウトプットを得るには、あたかもスポーツで試合をやっているかのような体力と集中力が基礎となるなぁ、と実感しています。

世の中の仕組みが変容していくことを前提として、これからどのようなことでお役に立てるだろうか、と思う今年の締めくくりです。どんな時にも、次に進む選択肢の可能は見出されると思っています。どこへ目を向けて歩みを進めるか、暫し思案してみます。
末筆となりましたが、お世話になった方々に感謝申し上げます。
新たな一年が皆様にとって、素晴らしい飛躍の年となられますことを心よりお祈り申し上げます。

ー 冬至 ー

ブランディングの一考察から 臨機応変の意思決定について

とある依頼案件がきっかけでブランディングについてお客様とさまざまに思考の展開と収束を積み重ねています。事業の新しい在り方を、「変革」というコンセプトを軸に模索しています。今日まで、事業を通じて築き上げられてきた企業が有する価値は、変化を続ける状況でどうやったら有益な結果を今後も生み出していけるのでしょう。ブランドとブランディングの定義がとても重要なのだと今回の事案を通じて実感しています。

マーケティング・コンサルタントの安原智樹氏によると、以下のような要因を上げておられます。
ブランド価値 = 商品提供価値 X コンテンツ提供価値 X リレーション提供価値

さらに、「ブランディング」という言葉の定義として、
「商品提供価値をブランド価値全体にストレッチさせ、その結果、ブランドがビジネスに貢献することを目指す」手法である、と述べられています。
*安原智樹著 ブランディングの基本 日本実業出版より引用

事業展開において、自社の商品をどうブランディングしていくかについて、お客様との関係性から創られる商品の価値と、商品の価値を膨らませる情報群の2軸に展開して商品が提供する価値を最大化する、すなわちブランディングによってブランド価値を引き上げるフレームワークが提示されています。

ブランドということが意味する価値と、価値を最大化するためのブランディングという活動は目に見えない「価値」を扱う概念的な領域です。この目に見えない価値というものを、組織化された企業にあって、それぞれの職務ごとに目的に向かって業務遂行をしていくのです。
それぞれの職務はちょうどチームプレーの戦略にそったフォーメーションを示すような意味になるのでしょう。さらに規模のそれほど大きくない組織やプロジェクトチームならば、中心にいるリーダー自身がプレイヤーとして加わってフィールドに出てゲームを動かしている状況でしょう。自分のことをやりながらチームメンバーが機能するように関わっていき、不確定な状況では、先々の予見とその場での決断を絶えず求められます。事実を適確に把握し合理性をもって対処できる事案もあれば、一見関連性がないように見える曖昧ななかから直観的にパターンを想定していく場面もあるでしょう。

複雑かつ混沌としている中にあって、リーダーシップとは、事実の見極めとメンバーの能力と特性に応じた関与と介入を状況に即して行える能力と言えます。状況の進展と結果を創り出していくプロセスでもっとも意味があるのは、リーダーが臨機応変に対応しながらメンバーと新しい知恵を創り出していくことだと思います。一人一人の足し算でなく、一つ一つの知恵の乗算になるような関わり方こそが不確実な状況を打破する糸口となると思うのです。

ー 小暑 −

リーダーシップとマネジメントの違いから思うこと

危機的な状況では、状況判断と決断力がとりわけ重要な能力となる。事細かなことに執心するよりも、眼前の状況から事実を見定め、将来の可能性について複数の選択肢に思考を巡らす。感情は判断を曇らせる可能性を孕むが、人の抱く不安や懸念がどこから去来するかを掴むには情を持って耳を傾けるほかない。理と情を斟酌しながら、その狭間で両天秤のように揺蕩う。決断するとは、選ぶ事であり、捨てる事である。過去に起こったことに未来の回答はない、と言える。

人は不安と恐怖の中で何を見出し、その人の集団からどのような存在が生まれるのか。カリスマ的リーダーシップは、本人が持っている天分を超えて、人々の思いから生み出されるのであろうと思う。既存の枠組みにのって調整を行うを旨とする能力とは全く異なる「力」なのだ。自身が変わらなくとも、周囲の状況は一変していく。その変遷において、目指す方向を見出すには、これまでとは違った視点から眺めてみる必要がある。可能はあまねく存在するだろうが、選択は一つに収斂していく。何を思い、見出そうとしているか、これまでとは違ってくる秩序と常識にどう折り合いをつけていくか、今ひととき思い巡らしてから踏み出してみよう。

ー 小満 ー

こんな時だからこそ、少しの間ゆっくり呼吸をしよう

時ならぬ社会不安が、目に見えないウイルスによって拡散しています。ウイルスの特性は徐々に明らかになってきているようですが、不安を解消してくれるような対処法を得るにはまだ少し時間が必要なようです。
私も小まめに手洗いをすることと、むやみに人混みに出かけないよう心がけています。仕事で人前に出る際にはマスクの着用をご容赦頂くようにしています。
そうやってウイルスそのものに十分な注意を払うべきなのですが、恐怖心や懸念のスキに忍び込む曖昧さや憶測にも気をつけたいと思っています。正しく怖がる、そのために冷静に事実を見定める複眼的な見方をしておきたいと思っています。
そして日常生活で自分ができる事のなかに、呼吸に意識を向けることで心を落ち着かせるよう瞑想をするというのがあります。長期化する状況でストレスがかかってくると心身に不調が出かねません。そんなとき、心身のバランスを保つために5分程度の短い時間でも瞑想は有効だと思います。呼吸瞑想のやり方は、閑かな場所で椅子に座りながらでも、あぐらをかいてでも構いません。鼻からゆっくり息を吸って、鼻からゆっくり吐くことに意識を向けるだけというシンプルで分かりやすいものです。呼吸には、意識化で働く体性神経と無意識下で働く自律神経の2つの神経が関わってきます。唯一この両方の神経の影響を受けている呼吸が、内面に目を向けバランスを取り直すうえで重要な役割を担っているんですね。
目を閉じて自分の呼吸に意識を向けていると、不安や懸念、イライラといったいろんな雑念が湧いてくるかも知れません。それでも自分のゆっくりとした深い呼吸に意識を向けることで、心の軸に芯が通ってくるような、「今」という自分に立ち返るきっかけがえられるのではないでしょうか。こんな時だからこそ、瞑想という生活の習慣をあらためて思うところです。

ー 春分 ー

参考資料のダウンロードページを改訂しました

一年ほど試用してきた参考資料の掲載ページを、現在改訂中です。
メールアドレスを入力していただき、ダウンロードのリンクをお送りする方法に変更しました。
試しに研修アジェンダを一件追加してみました。今後は、これまでの事案に関する内容を整理しつつ逐次掲載していく計画です。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

ロジカルシンキングを実務に活かす

ビジネスにおいて、時間は誰にとっても貴重な経営資源です。とはいえ、拙速に結論を急ぎすぎると、期待する結果が得にくくなるだけでなく、後々の修正も難しくなります。成功も失敗も貴重な成果ですから、その事実がきちんとわかるようにしておけば、修正を反映して次はもっとうまくやれるはずです。行動を起こす前に巡らす考えの設計図が明瞭であれば、先の見通しが明るくなるだけでなく、不測の事態に機敏に対応できるキャパシティーが大きくなります。そこで、ビジネス・コミュニケーションの基本的な思考の組み立てについて、演繹法と帰納法の二つを取り上げてみます。

まず演繹法についてです。私たちが用いる日本語のもつ文法的な組み立ては、順を追ってストーリーが展開していき最後に結論がくるという流れが自然かと思います。このような文脈なら演繹的な伝え方といえます。伝えようとする考えに関連する出来事やそれに付随する気持ちを順を追って表現するので、体験的に時間軸に沿って話やすいと言えます。ところが、時として、一つずつ事柄を追いかけていくうちに、どうしても話が長くなりがちです。また、伝えようとする事から道筋が外れていってしまい、最初に伝えようとしていたことと違ったところに着地してしまうということもあります。このようにならないためには入念に考えをまとめておいて、文章に書き起こすなどしておくと良いと思います。

次に、論理的な組み立てのもう一つである帰納法は、主張や結論に関連する個々の事象やそのセグメントの傾向を読み取って、推論を立てて主張や考えを導き出そうとする考え方です。典型的な文脈として、まず考えや結論を述べ、それを支える根拠を列挙します。複数の根拠をもとに主張するので聞き手の納得感を得られやすいです。また忙しいビジネス環境では、言いたいことが先に述べられるので判断や結論が得やすくなり、会話のテンポが良くなります。無駄なくスピーディーにコミュニケーションが行われる反面、「あそび」が少なくなり過ぎるとドライでギスギスした会話になりかねません。冗談を挟んだりするセンスも大事だと思います。また、結論を支える根拠の取り上げ方にも注意が必要です。用いるデータや事実、状況などに推論が入ったり情報が偏向するとうそっぽくなり説得力が下がります。主張の証左とする事柄に信頼性と妥当性が求められます。

果たして、どちらが良いかは状況や話し手の「意図」によるのですが、主張を組み立てるピースで重要なのは一つ一つのどんな事実を取り上げているかです。主張や結論を構成する基になる「事実」に推論が潜り込まないように留意し、起きている現象の本質的な原因は何か?(Why?)という問いかけを重ねていけば、仮説をもとに、それでどうした(So What?)の突っ込みで掘り下げていくと何を、どう、なんでかというと、が見えてきます。問いかけを重ねるプロセスから、その先にある解決策は見えてくる、と言えます。良い質問が良い結論を導き出すとも言えます。日常の「なぜ」を大切にすることで「ロジカルな」視点が養われると思います。

ー 啓蟄 ー