社長の後継者に思いが通じない。もしかしたら向いていないのか?

会社には多くの役割や立場があります。経営者は、そのトップに立つ最も重要な重い責任を担っているポジションと言えます。企業のビジネスについて、あらゆる事に精通していることを求められます。では、多岐にわたる業務全般を経験していれば経営者は務まるのかと言えば、そうとは言い切れません。意志決定の最終責任を担うトップマネジメントには、そこに至るまでの役割とは異なる能力、いわばバランス感覚やセンスといったことが求められます。
まず現在の経営者が後継者に対してどのような期待をもっているかを描き、後継者の候補者と共有していただく事です。そのために、事業の継承を想定した将来の期待像というひな形が必要になります。後継者の候補となる方が、仮に単独でも複数であったとしても、将来の期待像に対してどの程度の向き、不向きがあるかを把握しておかれることが重要です。また、どのような点に焦点を絞って経営者として育てていけば良いか、という見通しをもっていただくことです。理想として描くような完璧な人材はまずいないでしょうけれど、困難な目標に向かって挑戦する意思を持った人はきっといるはずです。
仮に過去に多くの部門で仕事に就いてきたとしても、これまでの経歴や成果は、これまでの延長線上にない、新たな役割を考える上では十分な判断材料とは言えません。次のポジション、それも経営のトップとしたら、全く経験のない立場で仕事の全責任を担うことになります。社長の後継者を選抜し、育成していくと言うことは、いわば会社の将来にとって、最重要の投資案件を検討するようなものです。そのための意志決定を行うために、明確な基準をもとに分析した報告書があったら有益なことは言うまでもないでしょう。