月別アーカイブ: 2014年2月

経営者自身のパフォーマンスモデルをどうつくるのか?

Q2:経営者自身のパフォーマンスモデルをどうつくるのか?
経営者自身のパフォーマンスモデルをどうつくるのか、と言うご質問ですが、最高経営責任者ですから誰が決めてくれるの、という疑問ですね。
まずその組織のビジネスをどうしたいか、どうなるのか、可能性はどうか、Pros Consを描いてみたら、などなど事業戦略が明確であり、中/長期的な展望が描かれていることが必要だと思います。これは前述の、後継者モデルをどのような視点で、どんなメンバーとでつくるか、で述べた考え方と同様です。
そして、CEOは一人で仕事をしているわけではありませんよね。トップを支えてくれているステークホルダーは一緒に働いているメンバー(部下や同僚)そしてお客様です。さらに、世の中には、同じ立場や役割で仕事をしていて、成功している方々が数多くいらっしゃいます。私たちが人材情報として提供しているPXTのように、能力や行動特性に表される自身の傾向(スタイルといってもいいでしょう)や仕事に対する価値観といった事に関して、客観的な視座から分析した結果をまとめたレポートが大いに活用できるでしょう。大切なことは、CEOといってもそれは役割立場のことを指しているのであって、その役職にいる人物のことではありませ。トップ自身も将来の成功を見通すために、組織全体を俯瞰してレビューすると共に、組織のトップマネジメントがどうあるべきか、を見直しながらいく必要があるでしょう。自らが変化を引き起こし、リーダーシップを発揮してこそのトップマネジメントではないでしょうか。
さて経営者のパフォーマンスモデルをつくる上で、以下のような検討材料が有効であろうかと思います。(1)O’netにあるような典型的なパフォーマンス/モデルを参考にする(2)成功に影響を与えるステークホルダー(部下や顧客)からのフィードバックを収集する(3)自己認知に基づくアセスメントの結果をモデルつくりの分析に用いる(4)外部の経営コンサルタントなどの有識者から提言を得たり、他社での成功事例をひな形として検討する
経営者として、周囲の理解とコンセンサスを形成していくステップが、企業の将来像を描くことにもつながっていくのではないでしょうか。役割立場とそこに任ぜられている人材を混同しないようにして、複合的な視座から情報を収集し、それら分析した結果をもとに合理性をもってドキュメント化していってみてはどうでしょうか。

後継者モデルをつくるのは、どういう視点で、どのようなメンバーでつくっていますか?

先日の事例研究セミナーで、いくつかご質問をいただきました。私なりに回答を差し上げた内容をブログにも掲載しておきたいと思います。
Q1:後継者モデルをつくるのは、どういう視点で、どのようなメンバーでつくっていますか?
後継者育成モデルをつくる際に、時間軸上で、現状(As Is)と将来(To Be)の二つの視座から期待人材像(モデル)を検討されることをお勧めしたいと思います。現時点から将来の目標に向かって、多様な選択肢が描き出せます。そして、人材のタレントマネジメントにおいて能力開発とキャリア機会をオファーする場合に、人材のキャリア志向と組織としてどんな期待や成果を前提としているか、を結びつけてプロセスを進めて行かれることが肝要かと思います。
現状のハイパフォーマンスは、ビジネス上では今の状況に合致していると言えます。そこで現職者同時比較という手法でハイパフォーマーをベンチマークしモデルをつくり、事業戦略とそこに成果を生み出す人材のモデルの関連性を評価できます。次に、事業の継続性と発展を目指し、めまぐるしく変化する外的要因とそれに適応していく組織、そこにあって人材に期待する成果行動も変化していきます。サクセッションプランニングにおいて、現状の成果はこれまでの積み重ねであり、前提として状況に大きな変動がなければ、重要な成功要因も予測可能でしょう。過去に実績を上げてきた人ややり方は、将来の成功の予測要因として意味があるのです。
しかし、前述したように変化を前提とした場合、過去の成功には将来を約束する解答は見出しにくいと言えます。事業戦略そのものがゼロベースでプランされ、将来の存続を模索するのであれば、その状況において期待する人材のありようも戦略に沿ったモデルである必要があると考えます。そのため、想定できる前提条件によって、複数のモデルを検討し、ベストモデルを選択していくというプロセスが望ましいと考えます。時間経過に応じ、想定したことと結果を分析できるようになりますから、事前に検討したオプションをアップデートして、新たな期待人材像、成果行動のモデル、能力を提示すると共に、中核的な人材のキャリア志向と合致するよう人材開発、キャリア機会の提供などの人事施策を組み込まれるとよいのではないでしょうか。
モデルつくりのプロセスでは、ステークホルダーとして、マネジメントの主要メンバー全員が関わることになろうかと思います。サクセッサーの上司、さらに上席者そしてトップマネジメントといったように、段階を踏んで、人材情報を収集及び精査し、事業戦略と結びつけて成長の源泉であるタレントマネジメントについて議論することに意義があります。
そしてサクセッサー自身のキャリアプランニングの貴重な機会でもあります。得がたい人材であると認識されることと、本人が将来の展望と希望を描けることが同じバランスで結びつくようにするためのプロセスであると言うこともできます。