危機的な状況では、状況判断と決断力がとりわけ重要な能力となる。事細かなことに執心するよりも、眼前の状況から事実を見定め、将来の可能性について複数の選択肢に思考を巡らす。感情は判断を曇らせる可能性を孕むが、人の抱く不安や懸念がどこから去来するかを掴むには情を持って耳を傾けるほかない。理と情を斟酌しながら、その狭間で両天秤のように揺蕩う。決断するとは、選ぶ事であり、捨てる事である。過去に起こったことに未来の回答はない、と言える。
人は不安と恐怖の中で何を見出し、その人の集団からどのような存在が生まれるのか。カリスマ的リーダーシップは、本人が持っている天分を超えて、人々の思いから生み出されるのであろうと思う。既存の枠組みにのって調整を行うを旨とする能力とは全く異なる「力」なのだ。自身が変わらなくとも、周囲の状況は一変していく。その変遷において、目指す方向を見出すには、これまでとは違った視点から眺めてみる必要がある。可能はあまねく存在するだろうが、選択は一つに収斂していく。何を思い、見出そうとしているか、これまでとは違ってくる秩序と常識にどう折り合いをつけていくか、今ひととき思い巡らしてから踏み出してみよう。
ー 小満 ー